社長くん(婚活パーティ) -インパクトの強すぎる男-

2014年10月某日。私は彼氏に振られ、一年間の交際に終止符を打った。
しかし3時間ほどで立ち直り、振られた悲しみを怒りに変え、友人との電話を楽しんだ。
電話の中では、元彼はカスであるという内容が主だったが、唐突に友人から「婚活パーティ行ってみよう!」と提案した。

婚活パーティの闇

私は失恋の痛みもそこそこに、新しい出会いを求めてPartypartyの20代限定婚活パーティに出向いた。
開催地は新宿店だった。清潔感のある会場だったが、女性陣はとても狭い半個室の部屋に1人ずつ詰められた。
よくある回転寿司形式だが、隣の同性を感じさせない配慮で半個室形式なのだろう。
しかし、こんな狭い部屋に閉じ込められるくらいなら、回転寿司形式の方がマシだと思う。
 
読者の皆様が気になっているだろう男性の質だが、まあ酷かった。
年収が200万円しかなかったり、顔もお察しレベルだったり、服装がTシャツジーパンのクソダサスタイルだったり……。
ここは魑魅魍魎のお見合い集合場所なのかな?と勘違いするレベルだった。

インパクトの強すぎる男

クソダサスタイルの男性とのウンザリする時間が終わり、彼がブースから出た後、その男はやってきた。
 
「な、な、、、
なんで怪我してるんですか?!」
 
その男は、腕に包帯をグルグルしていた。何だったら足もちょっと怪我してて松葉杖をついていた。婚活パーティーに、満身創痍を全身で表現している男が現れたのだ。
 
 
「いやー、階段から落ちちゃって笑」
「え、えーー……(婚活パーティ休めよ)」
「でも出会いが待ってると思って、頑張って来ました!!」
「ソ、ソッスカ………(休めよ)」
 
 
なんともツッコミどころ満載の男だが、来てしまった以上はしょうがない。会話せざるを得ない(目線はほとんど腕だが)。
 
「えーと、お仕事……しゃ、社長なんですか?!」
「小さい会社ですけどね」
「い、いやぁすごいですね」
 
もちろん本心からすごいと思っている。満身創痍の社長というキャラが、という意味で。
 
「お!システムエンジニアなんですね!僕の会社もIT企業なんですよー」
「へー」
「今後のIT企業は……(以降長々と続く)」
 
彼の会社の話も、年収も、身長も、何もかもがどうでもいい。
私は聞きたいことは一つだけだ。
 
その怪我の量は階段から落ちたものじゃないだろ?!?!と。
  
ただ私は初の婚活ということもあり、何も聞くことが出来ず、「ソッスカ…」「スゴイッスネ…」「ヘー…」と呟くだけの、ペッパーくん以下のポンコツロボットと化した。
ちなみに一つだけ聞けたことは、「溜まったお金とか何に使うんですか?」で、「車をこの前買いました」という返答だった。あっ、ふーん。
もちろんお互い好印象は残らず、中間発表もマッチングもしなかった。恐らく今後一生会わないだろう。
 

まとめ

婚活パーティに行く方々は、怪我をしている時は充分に休むことをオススメする。
たとえあなたがどれほど好条件の方でも、必ず「怪我している人」としかメモされないからだ。
ただしネタとしては大変面白いので、他者に笑いを提供したいという場合なら喜んで歓迎します。